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前橋地方裁判所 昭和26年(行)3号 判決 1952年6月17日

主文

被告か、昭和二十三年三月二日別紙物件目録記載の土地につき自作農創設特別措置法第三十条の規定によりたした買収処分中群馬県吾妻郡坂上村大字大戸字石畦四千七百七十五番の七山林十四町二畝十五歩に関する部分は無効であることを確認する。

原告のその余の請求は、これを棄却する。

訴訟費用は、これを五分しその四を原告その一を被告の夫々負担とする。

事実

原告訴訟代理人は、「被告が昭和二十三年三月二日別紙物件目録記載の土地につき自作農創設特別措置法第三十条の規定によりなした買収処分は無効であることを確認する。訴訟費用は、被告の負担とする。」との判決を求め、請求の原因として「昭和二十三年三月二日被告群馬県知事は、原告の父内山元太郎(昭和二十四年十二月十日死亡、原告がその財産を相続した。)所有の別紙物件目録記載の山林原野計四十七筆百六十五町七反六畝十二歩について自作農創設特別措置法第三十条の規定により、未墾地として国に買収の処分をした。これらの土地は、原告が父元太郎と共に大正五年以来三十有余年間にわたり苦心惨憺植樹造林に努力してきたもので、地目は山林又は原野となつているが、現状は悉く杉、檜、松、唐松その他雑木の山林となつており、榛名山の西方より北方にかけた急傾斜面に属し、気象、地形、地質、地層等の角度から考え、大部分が開墾不適地である かりでなく、治山治水の方面から観察すれば、これら造林の伐採開拓は、同地方山麓の多数住民に対し、溢水渇水等により甚大な損害を蒙らしむるに至るべきこと必然であり、且つ原告は、これら土地の上部になお三百六十町歩の山林を所有しているがこの山林は所謂奥地林で、既に買収された土地を除いては、山林経営が不可能に帰する惧れがある。斯様の次第で昭和二十二年十二月二十四日群馬県農地委員会において、本件土地に付買収計画が決定されるや、元太郎は昭和二十三年一月十日同委員会に異議申立をした処、同月二十九日異議申立を認めることができない旨の決定があつたので、更に同年二月十四日被告に訴願申立をしたのであるが、この訴願申立については、申立人に裁決書の送達をなさず、同年三月二日これが買収処分をしたのである。かくの如く訴願につき裁決書の送達をなさずして買収処分をすることは、無効である(買収処分の無効原因の第一)。なお被告は、その後これらの土地中吾妻郡坂上村大字大戸字菅原四千七百七十四番の二原野外二十二筆の一部計三十二町九反二畝歩を開墾予定地と定め、自作農創設特別措置法第三十三条の規定により、昭和二十六年二月九日附を以て同地上の立木竹等約四万七千九百九十四本につきこれが収去命令を発し、原告は同月十一日その令書を受領した。その収去期限は、最初同月二十八日としてあつたが、同月二十六日附訂正書によりこれを同年三月二十日とする旨通告し来り、引き続き急速に行政代執行法第三条の手続を経て、昭和二十六年四月五日には代執行による立木竹等の伐採に着手した。かくの如く本件買収処分は、三十二町九反二畝歩の開墾予定地(この土地も大部分は開墾不適地である。)のために百六十五町七反六畝十二歩の土地、即ち開墾予定地の五倍強に相当する地積を買収したもので、甚だしく不当違法であるといわねばならず、この場合開墾予定地の四倍強の土地に生育する立木竹等は買収されないから、なお原告の所有に属しているのであるが、開拓民等は、この山林を薪炭林地又は採草地として利用するのであるから、これら山林の実質上の権利は、開拓民等に帰属することになる。換言すれば、本件買収処分は、自作農創設特別措置法の規定を濫用し、父子二代三十余年間の苦心の結晶である原告所有山林の権利を不法に侵奪し、これを開拓民等に帰属させるものである(買収処分の無効原因の第二)。また本件買収処分は、原告(当時は先代元太郎)所有の五百数十町歩の一団の植林地帯の内百六十五町歩余に付昭和二十三年三月二日附でなされたが、当時買収された土地の区域は、書類上及び図面上は明確であつたもののそれは所謂机上の計画であつて現地につき確定されたものでない。故に被告は、買収処分後三年五月も経た今日(昭和二十六年八月上旬)に至つて右買収区域を確定すべく奔走している。要するに本件買収処分は買収された土地の範囲が現実に確定されなかつたものであるから絶対無効でなければならない(買収処分の無効原因の第三)。本件買収処分については原告の父内山元太郎及び原告は、当初から群馬県森林組合連合会長木檜三四郎氏等を通じ、治山治水、森林経営等の見地から農林省及び被告等に対し度々これが撤回方を要望陳情した結果、中央及び地方当局の現地視察等も行われ大体その諒承も得られ、既に被告より林野庁に宛て、本件買収地の内約百二十町歩は、旧所有者に返還されるよう申請がなされてあるとのことで、原告も今日迄出訴等を差し控えて来たが、一方被告は、本件買収地の一部に対し、急遽として代執行による立木竹等の伐採を開始したので、原告は被告に対し已むを得ず右買収処分の無効なることの確認を求めるため本訴に及んだ。」と述べ、「被告の主張事実中、内山元太郎より被告に宛て提出した買収土地立木につき質問書と題する書面中に『訴願申出シ処是又申立立タズ』と記載あること、

昭和二十四年七月二十三日県係員より内山元太郎宛にこの土地を測量するために立入の通知のあつたこと、昭和二十六年八月十三日県側より土地の境界について協議したいとの申出があり原告がこれを拒否したことは、何れもこれを認めるが、県農地委員会が本件土地の買収計画を樹立する以前に県係員か現地の境界確認のため数回元太郎に面接し案内を依頼したがその都度拒まれたので土地台帳並びに図面と現地とを照合し買収手続を行い、県知事の認可を得たこと、本件土地中開墾せられざる部分が被告主張の大鳴石地区の入植者の薪炭採草地であること、附帯地上の立木の権利は、政府において買収した後に入植者に売り渡されることは、何れも知らない。被告が昭和二十三年二月二十五日訴願棄却の裁決をなしその裁決書謄本を被告主張の日時に書留郵便で元太郎に送付したことは否認する。」と答えた。

被告指定代理人は、「原告の請求は棄却する。訴訟費用は原告の負担とする。」との判決を求め、本案前の抗弁として「原告の本件土地に対する買収処分の無効確認を求める本訴は、行政事件訴訟特例法第一条にいうその他公法上の権利関係に関する訴訟にあたるので同法第三条の適用はないから被告を国として提起すべきであり、また国の利害に関係のある訴訟についての法務総裁の権限等に関する法律第一条により訴訟上の国の代表者はすべて法務総裁になつているから群馬県知事は国を代表する権限なく、何れにしても本訴は当事者適格なきものを被告とした点で失当である。」と述べ、答弁として「原告の主張事実中、昭和二十三年三月二日被告が原告主張の如き内山元太郎所有の山林原野につき自作農創設特別措置法第三十条の規定により未墾地として国に買収の処分をしたこと、内山元太郎が死亡し原告が相続したこと、本件土地の地目が山林又は原野であつて現況は大部分杉、檜、松、唐松、雑木その他の山林であり、榛名山西方より北方にかけた傾斜面に属し地形の点から考えて開墾しない部分が相当面積あること、原告がこれ等の土地の上部に三百六十町歩の山林を所有していること、本件土地に関する買収計画樹立より被告に対する訴願申立迄の経過が原告主張のとおりであること、被告が本件買収処分をした後原告主張の本件土地中の開墾予定地三十二町九反二畝歩について行政代執行法の規定により、昭和二十六年四月五日代執行に著手した迄の経過が原告主張のとおりであること、本件買収処分は、原告(当時はその父元太郎)所有の五百数十町歩の一団の林地の内百六十五町七反六畝十二歩につきなされたこと、本件土地の買収につき原告の父元太郎及び原告が群馬県森林組合連合会長等を通じ農林省及び被告等に陳情し、中央及び地方当局の現地視察等が行われたことは、何れもこれを認める。然し、本件土地が買収されては、原告の三百六十町歩の奥地林の経営が不可能となる惧れがあること、原告が父元太郎と共に本件土地の植樹造林に努力したことは知らない。原告主張の訴願に対しては、群馬県知事は、昭和二十三年二月二十五日訴願棄却の裁決を行いその裁決書の謄本を同年三月一日群馬県文書課より書留郵便で訴願人内山元太郎に送付した。昭和二十四年五月十四日附右元太郎より群馬県知事宛の買収土地立木につき質問書と題する書面中にも訴願認められずと記載されているのであつて、この事実よりしても元太郎に裁決書の送達があつたことが分る。本件土地中開墾しない相当面積の部分は、その隣接地にして昭和二十二年七月二日及び昭和二十三年三月二日移管換済の大鳴石地区、昭和二十三年十二月二日移管換済の大石地区並びに同年三月二日附買収済の十二沢地区と同年七月二日附買収済の三塚原地区(本件土地たる新開地区を含め以上六地区を一括し大鳴石地区と称し開拓計画を樹てその売渡面積は二百八十二町一反五畝五歩である。)の入植者百十四戸の薪炭採草地であつて(六地区の薪炭地七十八町八反八畝歩採草地七十八町七反九畝歩)この地区の入植者にとつて、右附帯地は広大に過ぎることはない。またこの附帯地上の立木の権利は、現在においては開拓民に帰属しておらないが、政府において買収した後入植者に売渡される。この附帯地の買収については、あらゆる角度から検討したが治山治水には支障がない。県農地委員会は本件土地の買収計画を樹立する以前に現在の境界を確認するため数回原告先代元太郎に県係員が直接面接し案内を依頼したところその都度拒否されたので止むを得ず土地台帳並びに図面と現地とを照合し買収手続を行い、知事の認可を得たのである。更に本件土地につき開拓計画樹立のため測量するに当り境界確定及び測量に支障のある立木の処理について協議すべく昭和二十四年七月二十三月県係員が文書を持参したところ翌日原告は県係員に面接しこれまた拒否したので、図面と現地とを照合しつつ開拓計画を樹立したのであるが、買収されていない土地を一部測量したことと本件土地中一部開拓計画を樹立していない土地があつたので、その境界についての協議に昭和二十六年八月十三日県係員が原告に面接したところ拒否されるような始末で、本件買収処分は原告側の非協力により図面によつて一部現地を確定したものである。結局本件買収処分は適法に行われたもので原告の無効原因の主張は何れも失当である。なお原告等の陳情等により、本件買収処分の撤回を中央及び地方当局が大体諒承したということはなく被告から林野庁に宛て原告主張の如き約百二十町歩返還の申請をした様なこともない。」と述べた。

(立証省略)

理由

最初に被告の本案前の抗弁について判断するのに、行政処分の無効確認を求める訴もその収消又は変更を求める訴も、その性質においては、当該処分の違法なりや否やを争う点で同一であつて取扱を異にすべき根拠はないし、又訴訟を進めてゆく上にも当該処分についての事情は、これをなした行政庁の最もよく知る処であること等訴訟経済の面から考慮しても、同趣旨の観点から設けられた行政事件訴訟特例法第三条が、無効確認を求める訴にも準用ありと解して妨げない。従つて本訴において買収処分をした行政庁たる群馬県知事を被告としたのは正当である。

次に本案につき審按するに、被告群馬県知事が昭和二十三年三月二日原告の父元太郎(昭和二十四年十二月十日死亡、原告がその財産を相続した。)所有の五百数十町歩の一団の林地のうち別紙物件目録記載の山林原野四十七筆計百六十五町七反六畝十二歩につき自作農創設特別措置法第三十条の規定により未墾地として国に買収の処分をしたこと、これらの土地が地目は山林、原野となつているが、現況は杉、檜、松、唐松、雑木等の山林であり、榛名山西方より北方にかけた傾斜面に属し地形の点から考えて開墾しない部分が相当面積あること、是より先昭和二十二年十二月二十四日群馬県農地委員会がこれらの土地について買収計画を決定するや、原告の父元太郎が昭和二十三年一月十日同委員会に異議申立をなし、同月二十九日右申立を認めない決定があり、更に同年二月十四日元太郎が被告に訴願の申立をしたことは、被告の認める所である。

原告は、右訴願に対する裁決書の送達をなさずに、被告が本件買収処分をなしたのは違法であると主張するのでこの点について判断する。証人浅野岩男の証言によつて真正に成立したものと認められる乙第一号証、成立に争ない乙第七号証及び証人浅野岩男、同関根保博の各証言を綜合すれば、被告群馬県知事は昭和二十三年二月二十五日元太郎の訴願申立を認めることができない旨訴願棄却の裁決をし、同年三月一日裁決書の謄本を県の文書課を通じて元太郎宛書留郵便で発送したことが認められるから、特段の事情のない限り右書類は、当時元太郎に送達されたものと推認できるのであつて、これに反する原告本人の供述はたやすく措信できないし、証人木檜三四郎、同川又文治の各証言によるも右認定を覆すに足りない。

被告が、本件土地の買収処分後、そのうち吾妻都坂上村大字大戸字菅原四千七百七十四番の二原野外二十二筆の一部計三十二町九反二畝歩を開墾予定地と定め、自作農創設特別措置法第三十三条の規定により昭和二十六年二月九日附を以て同地上の立木竹等四万七千九百九十四本につき収去命令を発し、原告は同月十一日その令書を受領したこと、その収去期限は結局同年三月二十日と定められたが、原告が之に応じたかつたので、被告は行政代執行法第三条の手続を経て同年四月五日代執行による立木竹等の伐採に著手したことは当事者間に争がない。原告は、「本件買収処分は、三十二町九反二畝の開墾予定地(この土地も大部分は開墾不適地である。)のために百六十五町七反六畝十二歩即ち開墾予定地の五倍強に相当する地積を買収したもので、甚しく不当違法であるといわねばならず、この場合開墾予定地の四倍強の土地に生育する立木竹等は買収されないから、なお原告の所有に属しているのであるが、開拓民等は、この山林を薪炭林地又は採草地として利用するのであるから、これら山林の実質上の権利は開拓民等に帰属することとなる。換言すれば、本件買収処分は、自作農創設特別措置法の規定を濫用し、父子二代三十余年間の苦心の結晶である原告所有山林の権利を不法に侵奪し、これを開拓民等に帰属させるものであつて、かかる買収処分は無効である。」と主張する。真正に成立したものと認める乙第二、五号証、証人安藤重郎の証言により真正に成立したことを認め得る乙第三、六号証及び証人浅野岩男、同清水倫太郎、同安藤重郎の各証言を合わせて考えれば、本件土地のうち前記開墾予定地三十二町九反二畝を除き、その余の部分は、大鳴石地区(本件土地を含む総面積四百六十町余の区域であつて、右四百六十町余の中には後記買収処分の無効なる字石畦四千七百七十五番の七山林十四町二畝十五歩をも含む。)の開墾耕地二百五十七町六反のため薪炭採草地とするために買収処分をしたのであつて、右耕地の附帯地としては本件土地が最も地理的に近接し適当であること大鳴石地区の総入植者数百十四戸に対し一戸当り耕地面積二町歩余採草地七反弱薪炭林七反五畝余として開拓計画を樹てていることが認められる。(従つて、本件土地のうち開墾しない土地が本件土地中の開墾予定地三十二町九反二畝歩の附帯地であるとする原告主張事実は正当でない。)成立に争いない甲第三号証の一、四原本の存在とその成立に争いない同号証の二、三によれば、附帯地買収の基準は農地となるべき土地面積に対し附帯地等の面積は三割を以て相当とすることが認められ、この基準に照すときは本件において附帯地の面積が多きに失する嫌いがないではないが、前認定の割合の程度では未だ以て本件買収処分を無効たらしめるものと認めることができない。本件土地の上に生育する立木竹等は買収されたのでないからなお原告の所有に属していることは原告の主張する通りであつて、自作農創設特別措置法第三十条第一項第四号又は第七号の規定によつて右立木竹等が買収せられない限り原告は之を収去し得べく、若し右規定によつて買収される場合は対価が支払われるのであり、収去の場合についても同法第三十三条第二項以下の所有者の利益を保護するため規定が設けられている。本件土地の現場の写真であること争なき甲第六号証の一乃至十一、検証の結果、証人橋爪与太郎、同石井清の各証言及び原告本人訊問の結果によれば、本件土地は原告がその先代内山元太郎以来三十余年間に亘り苦心経営した植林造林地帯であることを認め得るから、かかる林地は能うかぎり未墾地買収から除外することが望ましいのであるけれども、一旦正規の手続によつて買収処分がなされた以上は、それが上叙の如き植林造林地帯であるの故を以て買収処分を無効と判定することはできない。

第三に原告は、「本件買収処分は買収土地の範囲が現実に確定されなかつたから無効である。」と主張する。本件土地のうち大字大戸字石畦四千七百七十五番地の七山林十四町二畝十五歩は本現場東南部にある標杭と原告事務所跡を結ぶ道路の東に存在する一劃の土地(検証調書添附の見取図参照)であることは当事者間に争がない。そもそも未墾地買収計画を樹立するにはその前に買収計画に入るべき土地について調査をしなければならぬ。この調査は現地に就いてすると図面の上でするとを問わず(実際は図面の上だけですることは極めて希であろう)、ともかく土地そのものが先であつて地番は後である。換言すれば、斯々の範囲内の土地を買収計画に入るべきであると、調査の結果定つた上で、さてこれは何番地であり、所有権その他の権利関係はどうであるかをたしかめるのが順序である。本件において前顕乙第三号証と成立に争なき甲第五号証の二(いずれも図面)には前記石畦四千七百七十五番の七山林の地域に該当する部分が空白であるから、この地域は当初から買収計画に入つておらず、これについては買収計画が全然樹立せられなかつたことに帰著する、尤も買収計画書や買収令書には右地番の記載もたされているであろうが、それは右地番の土地はその真実の所在地とは別の所に存在するものと誤認しその誤認した地域を買収せんとして記載せられたものに過ぎない。乙第六号証は昭和二十六年に至り右土地の真実の所在が判明したのでさきの図面(乙第三号証)を訂正したものであること証人安藤重郎の証言により明瞭であるから、乙第六号証が存在することは上叙認定を左右するに足りない。証人浅野岩男の証言は信用しない。右の如く石畦四千七百七十五番の七山林十四町二畝十五歩については買収計画が樹立せられなかつたのであるから買収処分は無効である。前顕乙第三、六号証、検証の結果及び証人安藤重郎、同浅野岩男の各証言によれば、熊宿沢以北の土地(検証調書添附の見取図参照)は初め別紙物件目録記載の土地の一部であるとみとめ、県において開拓計画を樹てたが、後に至り別紙物件目録記載の土地に含まれないことが判明したので開拓計画を訂正したことを認め得る。この事実は本件買収計画を樹立するに当り調査が杜撰であつたことの証左とはなるが、前記石畦四千七百七十五番の七の土地を除きその余の土地については適法に買収手続が行われたのであるから、その買収処分は無効ではない。

結局、原告の本訴請求のうち、前掲字石畦四千七百七十五番〇七山林十四町二畝十五歩について買収処分の無効確認を求める部分は理由があるからこれを認容すべきであるが、その余の部分は理由なきものとして棄却すべきである。よつて訴訟費用の負担につき民事訴訟法第八十九条、第九十二条本文を適用して、主文のとおり判決する。(昭和二七年六月一七日前橋地方裁判所民事部)

(別紙物件目録は省略する。)

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